ローマンシェード(カーテンシェード)

ローマンシェード カーテン・シェード メイン

ローマンシェード(カーテンシェード)とはファブリックスを仕立てたシェード(幕体)をメカ(昇降器具)に取り付け、上下に開閉を行う窓装飾エレメントです。
カーテンとはひと味異なるファブリックスの風合いが楽しめます。
ローマンシェード(カーテンシェード)の長所・短所など、詳しくご紹介します。

1.ローマンシェード(カーテンシェード)の変遷

ローマンシェード(カーテンシェード)は約200年前にヨーロッパで日除け、目隠しとして使用されていましたが、1980年代ごろから日本でも普及し始め、いろいろなスタイルに改良・工夫がされ、1990年代にはスタイルの展開が急速に拡大したのです。
ローマンシェード(カーテンシェード)は上下に開閉するスタイルカーテンの一つとして人気があります。それはローマンシェード(カーテンシェード)がファブリックスの特性を生かしてエレガンスなスタイルからモダンなスタイルまでいろいろなデザインスタイルを楽しむことができるウインドートリートメントであるからといえます。
なかでも最近ダブルタイプが人気で、拡大傾向にあります。これは1台のメカでカーテンのダブル付けのようにドレープ地とレース地をセットしたコストパフォーマンスが高い、使い勝手の良いタイプとして評価されています。また、ライフスタイルの多様化に伴って、和風テイストのローマンシェード(カーテンシェード)もアジアンテイストやナチュラルテイストのタイプも定着してきています。

ローマンシェード カーテン・シェード アップ

2.スクリーン(幕体)の素材

ローマンシェード(カーテンシェード)に使用される素材はカーテンと同様にファブリックスが中心です。材質は化学繊維(ポリエステル・アクリル・レーヨン等)が圧倒的に多いですが、天然繊維(綿・麻・ウール・絹)、化学繊維と天然繊維の混紡による繊維も多く採用されています。中には、すだれタイプや経木(きょうぎ:薄い木の板のこと。材質は主にスギ、ヒノキ)を使ったものもあります。また、基本的に次のような生地を使用する場合には注意が必要です。

・チェックやストライプなど直線的な柄の生地⇒柄曲がりが目立つため
・ベルベット、風通などの生地⇒ループ付きテープを縫い付けるため
・クラッシュ(シワ)加工された生地⇒ウエイトでシワが伸び寸法が安定しないため
・シアーなど透過性の高い生地⇒裏に縫い付けたテープが目立つため

3.ローマンシェード(カーテンシェード)のスタイル

【シングルタイプ】

1台のメカに1枚のシェードを吊すタイプです。シェードの裾のデザインやたたみ上げ方などにより、いくつかのスタイルに分けられます。

ローマンシェード カーテン・シェード シングル

●プレーンスタイル

最もシンプルでオーソドックスなスタイルです。シェードを下ろしたときはフラットな状態で、シェードを上げると、柔らかな風合いを残しながら規則正しくたたみ上がっていきます。窓の大小を問わず取り付け可能で、薄手から中厚手のファブリックスを使ったものが一般的です。ファブリックスは、無地から柄物まで対応する生地の種類が豊富な点が魅力。ただし、チェックやストライプなどは直線の柄曲がりが目立つ場合があるので注意が必要です。ほかの窓装飾エレメントとの相性もよく、カーテン、プリーツスクリーン、ブラインド等との併用が可能で、コーディネートの展開が楽しめるオールマイティなローマンシェード(カーテンシェード)といえます。

ローマンシェード カーテン・シェード プレーンスタイル

●シャープスタイル

プレーンスタイルのシェードにシェーパー(細長いバー)を等間隔に入れ、シャープなラインを出したスタイルです。バーの入れ方には、裏面にテープを付ける方法や、生地をつまんで表側にラインをつくる方法などがあります。シェードを下ろしたときはプレーンスタイルと同様にフラットな状態ですが、シェードを上げるとバーに引き上げられるように規則正しくたたみ上がります。シャープな横のラインが強調されるため、モダンな印象のスタイルに適しています。和風のテイストとも相性がよいため、使用する生地によっては障子代わりに使われることもあります。

ローマンシェード カーテン・シェード シャープスタイル

●バルーンスタイル

シェードを下げている状態は普通のカーテンと変わりませんが、シェードを上げていくとバルーン(風船)のように、ボトム(裾)が丸く変形しながらたたみ上がるスタイルです。ギャザーをたっぷりと取った柔らかさが特徴で、生地はウェーブの出やすいシアーや薄手のドレープが多く使われます。トップ部分の仕様は、ギャザータイプ、プリーツタイプ、ボックスプリーツタイプなどがあり、ボトムの仕様もフリルを付けるなど変化を楽しむことができます。単体で使用するほか、カーテンとのコーディネートも可能。エレガントやクラシックなスタイル向きで、出窓の装飾などにも適しています。

●オーストリアンスタイル

全体に細かいウエーブを取ったスタイルで、通常は下げた状態で窓を飾ります。使用する生地量が多いので、ボイルやオーガンジーのような軽くて柔らかいファブリックスが使われます。伝統的な優美さと気品に満ちたデザインで、豪華な空間を演出するのに適したスタイル。テラス窓など、比較的大きな窓に映え、ホテルやホールなどでも使用されます。

●ピーコックスタイル

シェードをたたみ上げたときに、ボトム部分が半円形になるスタイル。その形が、クジャクが羽を広げたさまに似ていることからピーコック(クジャクの意)と呼ばれています。機能性よりも装飾性を重視したスタイルで、縦長の窓に多く使われます。生地は無地や柄のもの(花柄やチェック等)が主流ですが、ストライプ柄を使用すると個性的な視覚効果が得られます。

●ムーススタイル

シェードのボトムの中央を1本のコードで引き上げるスタイル。ファブリックスの持つドレープ性を生かし、主に装飾目的で使われる優雅で繊細なスタイル。特徴的なボトムの形を生かすため、主に縦長の小窓に使われます。

【ダブルタイプ(ツインタイプ)】

1台のメカに2枚のシェードを吊るすタイプです。2台のメカを使うよりコンパクトに納まり、コストパフォーマンスに優れています。ドレープとシアーのダブル使いでカーテンのような調光・遮光などの効果が得られます。2枚のシェードには、プレーンスタイルやシャープスタイルを組み合わせて吊すのが一般的です。

ローマンシェード カーテン・シェード ダブルタイプ

4.ローマンシェード(カーテンシェード)の機構と操作方法

シェードの上げ下げを行う昇降機構には、コード式とドラム式があります。ドラム式の場合はチェーンやコードなどいくつかの操作方法があるので、用途に応じて選ぶことが可能です。

●コード式

ヘッドレールに通した昇降コードを直接操作し、ストッパーで停止させる方式。昇降コードを直接引っ張るため、大きな窓や思い素材の場合は操作が重く感じられる。小窓や軽い素材に適した操作方式。ダブルタイプの場合は前後の2枚のシェードを2本の操作コードで別々に操作する。片側で前後2枚のシェードを操作する片側操作タイプと、左右両側に前後それぞれの操作コードを振り分ける両側操作タイプがある。

●ドラム式シングルタイプ

ヘッドレールに内蔵されたドラムで昇降コードを巻き取り、クラッチ(ストッパー)で停止させる方式。ボールチェーンやループコードを引いて操作する。コード式と比べて軽い力でスムーズに操作できるため、大型の窓や重量があるファブリックスを使用する場合に適している。

●ドラム式ツインタイプ(ワンチェーンタイプ)

前後2枚のシェードを1本のボールチェーンで操作する方式。手前のシェードはループの手前側のボールチェーン、奥側のシェードはループの奥側のボールチェーンで操作する。ボールチェーンを引くと、引いた量に応じてシェードが上昇し、止めたい位置で手を離すと停止する。再度ボールチェーンを2cmほど引くとストッパーが解除され、スピードコントローラーにより適度な速度で下降する。途中で止める場合は、再度ボールチェーンを2cmほど引く。前後のシェードともに昇降動作は同一。前後2枚のシェードを2本のボールチェーンで操作するツーチェーンタイプもある。

●ハンドル式

ハンドルを手で回してシェードの昇降を行う。天窓や傾斜窓に使われることが多い操作方式。

●電動式

ヘッドレールに内蔵されたモーターの力でドラムを回転させて昇降を行う。スイッチやリモコンで操作する。複数のシェードを一斉に、または単独で操作するなど、必要に応じた開閉が可能。大型窓に取り付ける場合や重量のあるシェード、また手の届かない高窓などに適している。コンセントに差し込むだけで使用可能な製品も登場している。

5.ローマンシェード(カーテンシェード)の機能

ローマンシェード(カーテンシェード)は、使用するファブリックスにより遮光性や断熱性などの機能を持たせることができます。遮光にしたい場合は、遮光仕様のファブリックスを選ぶか、遮光裏地を付けます。ダブルタイプの場合、窓側に遮光生地、部屋側にレースや透け感のある生地にすると、遮光性と装飾性を両立することができます。

ローマンシェード カーテン・シェード ダブルタイプ 施工1

6.ローマンシェード(カーテンシェード)の用途

ローマンシェード(カーテンシェード)は、一般的な窓のほかに以下のような窓に取り付けが可能です。

●出窓

三角出窓、四角出窓、台形出窓(ベイウインドー)、多角形出窓(ボウウインドー)などに対応する、2~6連の出窓用ローマンシェード(カーテンシェード)がある。窓の形状によって取り付け可能なシェードのスタイルや昇降機構は異なる。

●大型窓

巾が広い窓や大きな窓に吊す場合、重量のあるシェードの場合は、ドラム式や電動式の昇降機構が適している。

●天窓、傾斜窓など

天窓や傾斜窓に取り付け可能な特殊なローマンシェード(カーテンシェード)がある。傾斜台形窓などの変形窓には特殊仕様で対応する。

●コーナー窓

コーナーに突き合わせで設置することで、ロールスクリーンなどに比べてすき間を少なく納めることができる。

ローマンシェード カーテン・シェード ダブルタイプ 施工2

7.採寸、取り付け方法

【採寸方法】

窓のタイプによって採寸寸法は変わります。(代表的な平窓の採寸方法)

(1)窓の内側に付ける場合は、仕上がり幅と仕上がり丈を内側実寸法より1cm程度差し引いた寸法。

(2)窓枠の外側に取り付ける場合は、仕上がり幅と仕上がり丈を外枠寸法以上とする。

(3)カーテンボックスに取り付ける場合は、仕上がり幅をカーテンボックスの内側実寸法より1cm程度差し引いた寸法、仕上がり丈をカーテンボックスの深さを含めた寸法にする。(カーテンボックスはスクリーンのたたみ代分の奥行きと高さが必要である。)

【取り付け方法】

ローマンシェード(カーテンシェード)の取り付け方法には窓枠の外側に取り付ける方法と、窓枠の内側に取り付ける方法がある。

・窓枠の外側に取り付ける方法は、四方の窓枠を覆うので、光漏れを抑制する場合に適する。(遮光タイプにする場合は左右、斜めからの光もれを防ぐように配慮する。)
・ローマンシェード(カーテンシェード)の取り付けは、付属部品のブラケットを使用して取り付ける。
・カーテンレールのブラケットに取り付けられるタイプもあるので、カーテンとの二重吊りの場合はカーテンレールのダブルブラケットを利用できる。

ローマンシェード カーテン・シェード ダブルタイプ 施工3

8.ローマンシェード(カーテンシェード)のメンテナンス

日常的には、ハンディモップなどでシェードのほこりやちりを取り除きます。さらに、定期的なクリーニングを行うことで快適な状態が維持できます。多くのローマンシェード(カーテンシェード)はシェードの取り外しが可能です。シェードに付いている取扱い絵表示に従って洗濯を行います。ファブリックスの種類によっては洗濯できないものもあるので注意が必要です。

【シェードの取り外し方】

製品の種類や寸法によってコードの通し方や付属部品と異なりますので、当該製品の取扱い説明書に従ってシェードを取り外します。
ホックで簡単に取り外せるタイプもあります。
一般的な手順を解説します。
シェードを再度取り付ける場合に備え、取り外す前の状態を確認してからシェードの取り外しを行います。

(1)シェードを下まで下ろす
(2)ウエイトバーを外す
(3)昇降コードをほどいて外す
(4)生地を取り外す
(5)ヘッドレールから生地を外した後は、コード類がヘッドレールから抜けないように束ねて結んでおく

【洗濯上の注意点】

・取扱い絵表示に従うこと
・生地に縫製されているリングテープにはアイロンがけを行わないこと。リングテープが縮み、シワの原因になります

【シェードの取り付け方】

・基本的に取り外しと逆の手順で取り付けます。
・シェードが水平であることを確認します。

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