一般的に、カーテンなどの生地は繊維の名前や製法によって識別されます。
一部のカーテンにも分類されるような代表的なカーテン生地の名称と特徴を簡単にまとめました。
【代表的なシアー生地】
・オーガンジー(Organdy)
薄手の平織で軽く、透けている生地。硬くハリのある風合いとしゃり感が特徴。
しゃり感とは、布地の風合いのひとつで、握るとやや硬く反撥する感じをいう。肌につかず涼感がある。
ポリエステルの分繊糸を使った透明感の高いもの。
・ボイル(Voile)
薄地で透けて見える平織の生地。経糸・緯糸に細い強燃糸を使い、しゃり感を出したもの。
・クレープ(Crepe)
一般に平織で表面にシボ(皮革表面にみられるシワ模様のこと)がある織物の総称。
クレープ・デ・シン、クレープ・ジョーゼット、楊柳(ようりゅう)などがある。
縮緬(ちりめん)も絹製のクレープの一種。
経糸に無燃糸、緯糸に強燃糸を使ったもの、または経糸・緯糸ともに強燃糸を使い、精錬してシボを出す。
【代表的なレース】
・ラッセルレース(Raschel Lace)
ラッセルレース編機という経編機でつくられる薄く平らな柄レース。
高級なリバーレースに比べ速く編めるため、編みレースカーテンの大半を占める普及品。
・エンブロイダリーレース(Embroidery Lace)
エンブロイダリーレース機によってボイルやローン、チュールなどに刺繍模様を施したレースのこと。
・アイレットレース(Eyelet Embroidery Lace)
カットワーク刺繍で小さな柄を出したレース。
カフェカーテンやカントリースタイルのカーテンに用いることが多い。
・オールオーバーレース(Allover Lace)
生地全面に連続した柄または模様のある広巾レース。
・ケミカルレース(Chemical Lace)
基布に刺繍した後、薬品で基布を溶かし、レース状にした生地。
糸が残った部分と溶けた部分がきれいに分かれ、繊細な印象でありながらもくっきりとレース模様が見える点が特徴。
・リバーレース(Leaver Lace)
リバー編機でつくられたレースのこと。
ごく細い糸をいろいろな模様に撚り合わせて編まれているため、繊細で優美な表情が特徴。
細い糸を数多く使用し複雑な組織をつくるため、機械の速度が遅く高価なレース。
・フィッシュネット(Fishnet)
メッシュ。
トリコット機で編まれた単調な網状の生地。
【代表的なカーテン生地(薄手で透過性が低いもの)】
・オパールプリント(Burned-out Print)
オパール加工によるプリント。
綿などのセルロース系の酸に弱い繊維と、ポリエステルなど酸に強い繊維の交織の生地に、酸を含んだ染料でプリントして溶かし、透かし模様を付けたもの。
特殊ポリエステルを交織したポリエステル100%のオパール加工も開発されている。
・シアサッカー(Seersucker)
縦の方向に、波状の凹凸のある部分と平らな部分とで縞を表した織物のこと。
単に「サッカー」、または「しじら織」とも呼ばれる。
経糸をある間隔を持ってたるませる部分と、しっかりと張った部分を交互につくって織り上げることで、たるませた部分によってシボのある縞ができる。
・更紗(さらさ)
一般には綿布に捺染した生地。産地により色や模様に特徴がある。
17世紀、ヨーロッパに輸出されたインド更紗がその原型となったといわれるヨーロピアンチンツプリントは、草花や田園風景を描いたものが多い。
イギリスのビクトリアンチンツ、フランスのトワレ・ド・ジュイなどがある。
インド更紗は、ペルシャ、サラセンなどの影響を強く受け、緻密で精巧な写生風の表現様式で、全体をすき間なく埋め尽くす構成に特徴がある。
モチーフは植物が主体でペーズリー模様が特に有名。ジャワ更紗(バティック)は主にインドネシア諸島でつくられる、ろうけつ染め。
ろうけつ染めは、筆などで溶かした蝋(ろう)を布に塗り、模様を描く手法。
染料にてその布を染色し、蝋を落として水洗いする。
蝋を塗った部分は白く染め抜かれる。複数の染色のためにはこの工程を繰り返す。
蝋を乾燥ひび割れを入れることによって、独特の亀裂模様を作り出すことも多い。
・絣(Ikat)
織物の技法のひとつで、経糸と緯糸、またはその両方に前もって染め分けた絣糸を使用して織り上げ、文様を表したもの。
これに類した技法は東南アジアをはじめ世界各地に見られ、マレー語で「縛る、くくる」を意味するイカット(Ikat)と呼ばれている。
【代表的なドレープ生地】
・シャンタン(Shantung)
節のある緯糸を使って横方向に節が不規則に現れた平織物。
もとは絹織物だが、現在はポリエステルを使うことが多い。シャンタンの名は、絹の生産地であった中国の山東省に由来。
・タフタ(Taffeta)
横にきわめて細い畝(うね)のある目のつんだ平織の生地。
生地にはハリがあり、軽くて薄いわりには硬さを感じる。
色糸を用いて玉虫、格子、縞などの模様に織り上げることが多い。
玉中は、補色関係にある経糸と緯糸を使い、見る角度によって色が複雑に変化して見える模様をいいます。
・ポプリン(Poplin)
緯糸の方向に細い畝が見える、手触りのよい柔らかな平織物。
ポプリンはイギリスの呼び方で、アメリカではブロードクロス、日本では畝が細いものをブロードクロス、畝が太いものをポプリンと呼ぶ。
・タッサー(Tussah)
ポプリンの一種で、野生の蚕の繭からとった絹糸のこと、またはその糸を使った平織の布のこと。
経糸よりも太い緯糸を使い、横畝がはっきりと現れていることが特徴。
現在はそれに似た風合いを持つものもタッサーと呼ぶ。
・グログラン(Grosgrain)
縦に細い生糸を、横に数本引きそろえた太い絹糸を用いた平織物。
経糸が細やかで緯糸が太いため、経糸が緯糸を包むような形となり、横畝を生じるのが特徴。
現在では縦横ともに綿糸によるものも製作されている。
・ベルベット(Velvet)
平織か綾織の経糸でパイルを織り出したパイル織物の一種。
一般的にはレーヨンかシルクが使われる。
柔らかで上品な手触りと深い光沢が特徴で、カーテンのほかフォーマルなドレスなどにも用いられる。
ベルベットは英語で、ポルトガル語ではビロードと呼ぶ。
・ベルベッティーン(Velveteen)
綿でつくられたベルベットのことで、緯糸でパイルを織り出した織物を指す。
厚手で手触りが柔らかく光沢のある布地。
別珍とも呼ばれる。
・サテン(Satin)
朱子織および朱子織の生地の総称。経糸か緯糸のどちらかを多く浮かせた組織。
ツイルのような斜め線が目立たず、手触りはソフトで、表面にはなめらかな光沢が現れる。
糸の交錯が少ないため強度が弱い。
糸密度が高いため暗幕に使用されることが多い。
・モアレ(Moire)
織物表面に波状、または木目模様がある生地。
彫刻したローラーで布地をプレスするほか、薄手の織物同士を重ねてプレスする方法もある。
グログランや緯糸に太番手の甘撚り綿糸を用いて織った横畝のあるファイユなどに施すと効果が増す。
・ツイル(Twill)
3原組織のひとつ、綾織(斜文織)の生地のこと。斜めの綾が現れるのが特徴。
一般的に、ツイルと表記がある場合は、1本の経糸と3本の緯糸が交差する四つ綾の織物を指すことが多い。
デニム、ギャバジン、ヘリンボーンなどはこの組織。
・ベロア(Velour)
毛足の短い経パイル織物で、絹、綿、化学繊維でつくられる。
平織か綾織の経糸でパイルを織り出した織物。
製織後、縮絨起毛により毛羽を立たせる。
・シェニール(Chenille)
表裏ともに多色柄の、両面パイルの織物。
一度織り上げた織物を経糸に沿って切断し、緯糸としてふたたび織り上げる。
温かみのある独特の風合いが特徴。
現在ではシェニール糸を使った織物全般を指す。
・フロックプリント(Flock Print)
繊維の毛羽(フロック)を生地の表面に植毛して、ベルベットのような毛足のある生地に仕上げる加工をフロッキー(フロック)加工という。
フロックプリントは、部分的に植毛して柄をつくったもの。
・ダマスク(Damask)
絹、レーヨン、毛、モヘヤ、綿、亜麻、ポリエステルなどの繊維による朱子地紋織で、ジャカード織の一種。
通常は表面の地が経朱子織、紋が緯朱子織のため、光による反射の違いから柄が浮き上がって見えるのが特徴。
絹のダマスク織は日本では緞子と呼ばれる。
・ブロケード(Brocade)
絹の紋織で、刺繍糸に薄い浮かし模様がある。
多色の色糸を使った浮かし模様が特徴。金銀糸入りのものは金襴という。
・マトラッセ(Matelasse)
経糸、緯糸ともに2種の糸を用い、かさね織を応用して裏糸の張力で表面に凹凸を出したもの。
キルティングを施したように見え、カーテンのほか椅子の張り地として使われる。
ふくれ織、風通織ともいう。
【代表的なアップホルスタリー(椅子張り地)生地】
・ツイード(Tweed)
本来はスコットランド産羊毛の太い紡毛糸を染めて、手織りで平織または綾織にした織物。
粗く厚い生地が特徴で、ざっくりとした素朴な味わいがある。
スコットランド産以外のもの、また機械紡ぎ・機械織りのものや、細い糸を使ったものでも同様の風合いを持つものはツイードと呼ばれる。
・キャンバス(Canvas)
帆布のこと。もとは綿100%の天然素材を平織にした厚手で丈夫な織物。
最近では綿に絹や麻などを混ぜて平織にした生地のこともキャンバスと呼ぶ。
・オットマン(Ottoman)
太い横畝のある厚手の平織の生地。
光沢のある細番手の経糸を密に、太い緯糸を打ち込んで織る。
横畝の織物の中では最も畝が大きい。
絹、綿、ウール、ポリエステルなどいろいろな素材からつくられる。
・モケット(Moquette)
縦緯糸に綿または化学繊維を用い、羊毛、梳毛糸、絹糸、ナイロン、アクリルなどを経パイルに用いた織物。
パイルを密に直立させるのが特徴。主に椅子の張り地に使われる。
・金華山織(きんかざんおり)
紋ビロードの一種で、緯糸に金糸・銀糸を織り込んで模様を織り出したもの。
カットパイルの部分とループパイルの部分で模様を描いている。
椅子張り地に使われることが多い。
・ゴブラン織(Gobelin)
綴れ織の一種で、生地を織りながら紋様を描く織物。
経糸が見えないほどに緯糸を重ねる手間と時間をかけた織り方のため丈夫である。
また、描画の繊細さから、絵画のように飾られることも多い。
・フェイクレザー(Fake Leather)
本物のレザーに似せた合成皮革や人工皮革のこと。
合成皮革は基材に不織布以外を用いたもの。
編み物や織物の上にポリウレタン樹脂をコーティング、または張り合わせる。
人工皮革は超極細繊維の不織布にポリウレタン樹脂を浸み込ませたもの。
・フェイクファー(Fake Fur)
本物の毛皮を模したパイル織物の一種。
人工毛皮、模造毛皮ともいう。
材料は化学繊維、羊毛、モヘヤ、アルパカなどを用いる。
本物のファーに比べて丈夫で、メンテナンスが容易。