窓装飾エレメントの選び方

窓装飾エレメントの選び方
窓装飾プランナーがオススメする、窓を装飾する際のエレメントの選び方をご紹介します。

1.建物に合わせて選ぶ

窓装飾エレメントの選び方 建物

建築物の種類や用途によって、気を配るポイントは異なります。
不特定多数の人が利用する施設などでは定められた法規に配慮する必要があります。
病院、ホテルなど用途が決まっている場所では、その用途に合わせたウインドウトリートメントが求められます。
また、住宅においても部屋の種類や用途に応じて、ウインドートリートメントは変わってきます。

●宿泊施設におけるウインドートリートメント

シティーホテルなど宿泊施設で重視されるのは、ゆっくりリラックスできるお客様だけの空間をつくることです。
ウインドートリートメントもその点を考慮したものが求められます。
また、ベッドリネンやスロー、ライナーなど、ほかのインテリアとのコーディネートや、調度品とのバランスも大切な要素です。

●高層階の空間では何を選ぶべきか

高層階の空間

マンションなどの高層階では強風や安全面を考慮して、開閉ができないフィックス窓が多用されます。
そのため、換気や通風はシステム空調で行われる場合が多くなります。
眺望を意識した大型の窓が増えていることも相まって、特に夏は室温が高くなりがちなので、遮熱効果が高いものやUV加工が施されたカーテンなどの窓装飾エレメントを選ぶとよいでしょう。
また、開閉可能な窓の場合、ブラインドが強い風にあおられる場合もあります。
現場をよく確認し、もし破損や衝突の危険性があるようであれば、より安全性の高いものを選ぶことが必要です。

●和室に向いてる窓装飾エレメント

近年では、和室にも障子以外の窓装飾エレメントを用いることが多くなりました。
現代の暮らしに合う提案としては、和の直接的なイメージに沿うプリーツスクリーンやロールスクリーンなどが挙げられます。
和室はドレープカーテンより、すっきりとした形状のもののほうが洗練された印象に仕上がります。
プリーツスクリーンには和紙調の生地もあり色柄も和を意識したものが多く、おしゃれな和の空間づくりに役立ちます。
寒さが気になる場合には、見た目はプリーツスクリーンに近く、より断熱効果が高いハニカムスクリーンもお勧めです。

●防炎加工が義務付けられる場所

飲食店やホテル、劇場や病院などの不特定多数の人が集まる場所、高層建築物や地下街では、消防法によって防炎加工が施された窓装飾エレメントの使用が義務付けられています。
高層建築物とは消防法で高さ31mを超える建築物とされており、用途にかかわらず対象となるため注意が必要です。
そのような場所では、防炎加工されたもの(難燃品)、あるいは後防炎加工が可能なカーテンやローマンシェードの生地を選ばなければなりません。
場所により、それぞれ条件も細かく異なります。

※防炎性能とは・・・火がついても(または焦げても)、燃え広がりにくい(延焼しない)性能のことを指します。
繊維に防炎性能を付加する方法には、製造工程での防炎(素材防炎)と後加工による防炎とがあります。
防炎性能の基準に合格したものには、消防法令によって定められた防炎性を保証した「防炎ラベル」が交付され、消防庁長官が認定した「防炎表示認定業者」により表示されます。防炎ラベルは消防法によって表示することが義務付けられた法定表示(義務表示)です。

防炎 マーク
防炎マーク

●病院や高齢者施設、保育園などのウインドートリートメント

病院や高齢者施設などでは、火災時などの安全性に加えて衛生状態なども優先されるべき条件です。
そのほか、操作のしやすさ、取っ手のつかみやすさ、さらに高齢者でも判別しやすい色などを考慮します。
ただし、そうした機能面だけに特化してしまうと、味気ないウインドートリートメントになってしまいがちです。
施設利用者のことを考え、気分が明るくなるようなやさしい色や柄などデザイン面にも気を配ります。
同様に、保育園など子どもが多く集まる場所では子どもが好む鮮やかな色を入れるとよいでしょう。
安全性も十分考慮が必要です。

病院や高齢者施設などでは、衛生面を重視し、抗菌、消臭、防汚など清潔を保ちやすい加工が施された生地を使用することが望ましい。
制菌や通風などの機能性を持たせた医療施設向きのホスピタルカーテン(医療カーテン)もある。

一般的には加齢とともに、青系は見えづらくなったり、パステル色同士の見分けが付きにくくなります。
また、明るさを感知しにくくなることも考慮に入れましょう。

2.窓装飾エレメントの機能で選ぶ

最近は、プライバシーの保護や省エネ効果などの機能面を重視する人が増えており、日々新たな機能商品が開発されています。

●プライバシーを守りたい

プライバシーを保護したい場合、有効な窓装飾エレメントのひとつにブラインドが挙げられます。
羽根の角度を自由に調節できるため、外からの視線を遮りながら採光ができます。
人物のシルエットが外に映りにくいという利点もあります。
「冷たい印象にならないか?」と心配される場合には、ブラインドの室内側にシアーカーテンを掛けてブラインドのシャープなイメージを和らげる方法があります。
あるいは羽根の色を明るい印象の暖色系にしたり、素材感のある木製に代えてみる方法もあります。

ほかの窓装飾エレメントとしては、高密度の遮光生地を用いたカーテンやロールスクリーンなどもプライバシー保護に役立ちます。太陽光を反射して外からの視線を遮るミラーカーテンも日中は有効ですが、夜間に電気をつけると室内が透けて見えるため、ドレープカーテンやブラインドなどと組み合わせる必要があります。

●省エネ効果を高めたい

省エネ エコ

近年は省エネに対する関心が高まっており、ウインドートリートメントによる遮熱や断熱を希望する人が増えました。
遮熱対策として遮熱加工が施された生地が発売されています。
ブラインドにも遮熱効果が付加されたものがあります。
日中のプライバシーの保護に用いられるミラーカーテンは、もともと太陽の光を反射させる仕組みによるもので遮熱効果もあり、紫外線によるドレープ生地の傷みもある程度防ぐことができます。

冬の断熱に効果的なのが、ドレープカーテンのリターンとトップカバーの組み合わせです。
窓とカーテンとのすき間をふさぐもので、外の冷気を室内に入れないため有効な手段です。
この組み合わせは、断熱効果のほかにも、光漏れを防ぐ効果や審美性の向上(カーテンレールの側面を隠し、横からも美しく見せる)、カーテン上部の掃除がしやすいなどさまざまな利点が望めます。
トップカバーにはカーテン以外の窓装飾エレメントにも利用できるものもあります。
(※トップカバーとは、カーテンレールの上部に設置する板状のツールをいいます。カバートップとも呼ばれる。)

3.窓の状況で選ぶ

日照は方角によって大きく異なるため、窓の向き(方角)は窓装飾エレメントの選択に多大な影響を及ぼします。
また、窓の種類や形状、サイズ、取り付け位置や、空間そのものの大きさなども考慮する必要があります。

●高い場所にある窓に適した窓装飾エレメントは?

吹き抜け空間の窓や天窓など、手が届きにくい高所の窓に窓装飾を行う場合、メンテナンス性や操作性を考慮する必要があります。
そのため、紐や電動で操作できるブラインドやスクリーン類を選ぶとよいでしょう。

●空間を広く見せたいときは?

空間の大きさに応じて色や柄を考慮する必要があります。
無地や小柄、白、薄い色などは空間を広く見せる効果があります。
一方、大柄や濃い色、黒などは存在感があり、空間を狭く見せてしまう場合があります。

●西日が強い部屋には何を選ぶ?

西日が強い

一般的には西日は朝日に比べて強烈で、室内が暑くなるだけでなく、紫外線によって床や壁、家具などが日焼けや色褪せをしたり、人の肌も日焼けする恐れがあります。
そのため、遮熱およびUVカット機能を併せ持つ窓装飾エレメントを選ぶとよいでしょう。
遮光機能のものだと日中の室内が暗くなってしまうため、光は通して熱だけを遮る遮熱効果のあるものが向いています。
西日は赤み・黄みを帯びています。
西日が当たっている間では青系の色は濁って見えてしまい、きれいに見えづらいことを認識した上で色を選ぶようにします。

●東向きの窓には何を選ぶ?

東向きの窓の場合、早朝から室内に光が入ってきます。
また、夏は朝から光が差し込んで暑くなりがちです。
そのため、特に寝室では遮光効果のある窓装飾エレメントが効果的です。

4.審美性を考慮して選ぶ

カーテン 審美性

使用する生地の特性に応じた適切なスタイルや、既製品にはないプラスアルファの仕上げなど審美性を高めることができるのがオーダーならではの魅力です。

●カーテンに裏地を付ける意味

ドレープカーテンに裏地を付ける目的は大きく分けて3つです。
1つ目は審美性の向上です。質の高い生地を使ったカーテンに裏地を付けると、さらに高級感が増して魅力的です。
ドレープが美しく出る効果もあります。2つ目は、耐久性の向上です。裏地を付けると日焼けによる生地の劣化を防ぎ、より長く美しさを保つことができます。
3つ目に保温性の向上です。2枚の生地の間に空気の層ができ、断熱効果が高まります。
裏地を選ぶときは生地の収縮差のないものを選びます。
なお、薄手のプリント生地などに裏地を付ける場合は透けて見えることがあるため注意が必要です。

●カーテンアクセサリーを活用する

タッセルをはじめとしたカーテンアクセサリーは、カーテン本体に比べて手軽に交換できる上、価格も手ごろでお客さまも購入しやすいものです。
タッセルは共布でつくるほか、別売りもあり、コーディネートは無限に広がります。
カーテンレールやタッセルに通すラインドロップやウインドーチャームなどは、カーテン以外の窓装飾エレメントにも活用できるため、オリジナルな窓まわりを作って楽しむことができます。

●生地の性質によって向いているスタイルは異なる

「この生地を使いたい!」と思っていても、生地によってスタイルの向き不向きがあるので、その生地が予定しているスタイルに合うものかどうかを確認する必要があります。

例えばドビー織りなど緯糸(よこいと)に意匠糸を用いて織られた生地は、横方面への張りが大きくなります。
このような生地をドレープカーテンに使用すると、そのままでは裾が広がりやすいため、形状記憶加工や形態安定加工などを施すとよいでしょう。
一方、プレーンシェードやシャープシェードに使用すると横方向のドレープの納まりがよくなります。

ローマンシェード、特にバルーンシェードに向いている生地は薄手のものです。
また、ベルベットなど厚手の生地はたたんだ際にたたみしろが厚くなってしまうためローマンシェードよりもドレープカーテンに向いています。

(※意匠糸は素材や太さ、色などの異なる糸を2~3本撚り合わせたり、特殊な機械操作によって部分的に太い部分をつくったり、ネップを撚り込んだり、色合い、撚り数などを故意に不均一にしたりして、変化に富んだ装飾的な外観をもたせた糸を意匠糸またはファンシー・ヤーン、飾り糸といいます。この意匠糸は婦人衣料用として多く使われます。)

●生地の順目と逆目、A面とB面の使い分け

高級感のあるクラシックなスタイルなどによく用いられるベルベット生地には「順目」と「逆目」があり、見る方向によって光沢感や色合いが異なります。
順目だとやや薄くナチュラルに、逆目だと濃くはっきり見えます。

「A面」「B面」をもつファブリックスもあります。例えば、「バックサテンシャンタン」は表がシャンタン、裏がサテンの生地になっています。
これはどちらの面を表として扱ってもよいものです。
生地メーカーの「A面」「B面」指定がない生地でも、日常使いに支障がないと判断できれば、逆使いをしてその人オリジナルのファブリックスをつくることもできます。
またもともと両面が使えるようにつくられたリバーシブルの生地もあります。

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